抽斗(ひ・き・だ・し)

家具は暮らすための一つの道具と考えています。

箪笥一つとっても、しまうことを突き詰めると意外に奥が深いものです。 抽斗の素材一つとってみても様々なものがあります。たとえば、一般的な合板性のもの。防虫を期待した楠による抽斗。精密さを要求するのであれば朴の木。一般的な無垢の抽斗ならアガチスや桂の木。調湿を考えるのなら桐の木などです。

現代の住まいは建物の機密性が格段に上がり家具そのものにそこまでの機能を要求することはなくなりました。暮らしのスタイルや見た目でモノを形にし、スライドレールで保持した引出がほとんどです。

しかし、最高級の引き出し具合を追求していくとスライドレールでは、役不足になります。日本のこの気候にあった引出方。そして、湿気という最大の敵にどう対処すれば良いかを考える抽斗。さらに、抽斗を機能させるための箱の構造。棚口といって、抽斗と抽斗の間にある構造体をどう作るか。この作り方で機密性が変化します。空気の抜け具合をどう設計するか。これが心地良い抽斗を決定づけます。

こんなことを要求するお客様はいらっしゃらないのですが、人知れずそんな抽斗作りに挑戦したいときがあります。それは、お客様の気持ちや想いに答えたいという気持ちです。

たかが箱でも、構造によって意味が変わるということを知り、我々製作者がコントロールできるような深い知識とノウハウ、技術を身につけることに心がけていきたいモノです。

IMG_0169   奥の造作物も抽斗の一種です。量を確保するために、抽斗形式にしたハンガーです。手前はコートや、ロングドレス。奥は、2段かけのハンガーです。 IMG_0167IMG_0168